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【高校古典】紫式部と「源氏物語」<日本の文学を変えた才女>

 高校生の勉強法

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紫式部の代表作「源氏物語」

紫式部という名前、中高生なら一度は聞いたことのある名前でしょう。

平安時代の超人気女流作家です。代表作はもちろん『源氏物語』。

「源氏物語」とは?

高校の古典の教科書ほとんどが『源氏物語』を採用しています。

紫式部はともに歌人・学者の流れをくんでいるいわばエリートの両親の間に生まれました。

古文を読む上では常識ですが、平安時代は特に和歌を上手に読むことができるというのがステータスでした。

 

またこの頃「漢文(漢詩)」は男性が、「ひらがな」は女性が扱うものとされていたのですが、紫式部は若いころからその才能を発揮し、漢文の才能にも恵まれ、お父さんに「お前が男だったら学者になれたのになあ」と言われたという逸話があります(こんなこと現代で言ったらえらいことになりますが!)。

 

そんな才女である紫式部が『源氏物語』を執筆し始めたのは今から約1000年前、彼女が33歳ごろのことでした。

 

夫に先立たれた後に執筆し始めたのですが、それが宮中で大ヒット。

当時の権力者・藤原道長にも読まれるほどのものだったとか。

 

もともと『源氏物語』というタイトルは紫式部自身がつけたタイトルではなく、「源氏の物語」と呼ばれていたのが時を経て『源氏物語』が定着したのではないかと考えられています。

 

私は「日本で最も素晴らしい文学は何か?」と問われれば、迷うことなく『源氏物語』と答えると思います。

その作品そのものの素晴らしさと、後世への影響力を考えると、こんなにも素晴らしい文学は他にはないと考えられます。

もし『源氏物語』がなかったら、日本の文学の発展はもっと遅かったでしょう。

『源氏物語』の作者・紫式部が、当時の物語の常識を打ち破り、新しい表現方法を切り開いたと言っても過言ではありません。

型破りの「書き出し」

まずひとつ、紫式部が打ち破った常識とは、「書き出し」です。

 

日本最古の物語文学と言えば、みなさんご存知でしょう、『竹取物語』です。

冒頭の「今は昔、竹取の翁といふものありけり。」を暗誦させられた人も多いのではないでしょうか。

実はその冒頭が、『源氏物語』より前の作品ではずっと踏襲されていました。

 

つまり、『竹取物語』から『源氏物語』まで、物語といえば「今は昔」や「昔」から始まるものだったわけです。

レパートリーが貧困ですね。

その常識を紫式部は打ち破りました。『源氏物語』の冒頭を見てみましょう。

いづれの御時(おおんとき)にか、女御(にょうご)更衣(こうい)あまた侍ひ給ひけるなかに、いとやむごとなき際(きわ)にはあらぬが、すぐれてときめき給うありけり。……

当時の人からしたら、物語は「今は昔」から始まるものだったのが「いづれの御時にか…」と始まったわけですから、それはもう画期的だったわけです。もし紫式部が『源氏物語』を書かなかったら、今でも物語の最初の文は「今は昔……」だったかもしれません。

魅力あふれる人物

『源氏物語』の主人公・光源氏は絶世の美男子。

その美貌と和歌の才能を生かして様々な女性と恋をしてゆきます。

最強のモテ男子です。

 

皆さんそれぞれの「理想の最強のモテ男子」を想像してください。

それが光源氏です。

そういう男子が出てくるドラマ、見ちゃうでしょう(当時はもちろんマンガやドラマはないので、文学くらいしか娯楽がありませんでした)。

 

その最強モテ男子・光源氏と恋に落ちる女性は全54編通して約11名。

その11名が本当に個性のある人物です。

亡き母に瓜二つの藤壺、プライドの高い葵の上、光源氏の理想の女性に育てられた紫の上、年上彼女の六条御息所、薄明の夕顔、身持ちの堅い空蝉、控えめな花散里、田舎に住んでいながらも奥ゆかしさのある明石の君、政権争いの相手方の娘であった朧月夜、源氏の妻でありながら、源氏の息子の友人と関係を結んでしまう女三宮……

 

この10名は非常に容姿も器量も優れているのですが、もう1人の恋の相手、末摘花だけは違います。

教養深く、琴だけを唯一の友として学芸には秀でているのですが先述の10名に比べて明らかに容姿が劣っている描写がされています。

さすがの源氏もがっかりしたのですが、彼女のひたむきな思いに折れて、生涯光源氏の庇護を受けて暮らします。

 

それ以外にも光源氏の友人や政権争いの相手など、魅力的な人物が多く登場します。

男女問わず、自分の「推し」が見つかるはずです。

 

ちなみに私は光源氏を拒み続けた朝顔の姫君推しです。

彼女は賢いので、源氏と恋に落ちた女性たちが不幸になっているのを知って「この人とは付き合えん!」と生涯源氏を拒み続けます。

みんながみんな源氏を好きだと思うなよ。

多彩な心情表現

ふと空を見上げると、今にも雨が降り出しそうな鉛色の空であった。

この一文を読んで、主人公はどんな気持ちだと想像できますか?

 

おそらく、どんよりと気持ちが沈んでしまい、涙をこらえている状況だと捉えられます。

「鉛色」とはその落ち込んだ・くすんだ気持ちを色で表現し、「今にも雨が降り出しそう」とは涙を流しそうな主人公の心情を表しています。

 

このような表現を「情景描写」といいます。

感「情」が「景」色にゆだねられているわけです。

 

実は、この表現を日本で積極的に採用したのも紫式部。

源氏物語は景色の美しさを表現するのではなく、景物すべてが人間社会に関わってゆきます。

例えば「露」は「涙」「はかなさ」の象徴として登場するし、「時雨」は突然妻を失った光源氏の涙を表現しています。

ただ美しいだけではなく、その全てが登場人物の心情と重なります。

これもまた、紫式部が切り開いた表現の一つと言えるでしょう。

 

とまあこのように、いろいろと紫式部の功績を讃えてきたわけですが、結局読まないとよくわかんねえ!と思うでしょう。

最近、『八日目の蝉』を執筆した角田光代さんが『源氏物語』の現代語訳に取り組んでいらっしゃいます。

紫式部と同じ女性作家が描く『源氏物語』。

私も上巻(上中下の3巻に分かれていて、今上・中巻が出ています)を読みましたが、『源氏物語』の言葉の持つ雅さを損なわずに現代の平易な言葉で書かれています。超お薦めです。

 

高校生、古文に取り組む時に「むずかしくてよくわかんない…」となる人も多いでしょう。

けれども、現代語訳を読めばそれなりに面白いモノが多いです。

特に『源氏物語』は日本文学の最高峰とも言える作品。

現代語訳はもちろん、漫画化・映画化もされています。

生田斗真が光源氏を演じる映画もあります。

 

リアル光源氏。

この春休みに一念発起して、漫画でも映画でも小説でも、触れてみるのはいかがでしょうか。

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